知覚麻痺(知覚障害)
脊髄が横断性に障害されると表在知覚(触覚、痛覚、温・冷覚)および深部知覚(振動覚、位置覚)の全てが脱失する。
皮節,Dermatome : 皮膚の分節的神経支配
知覚麻痺に伴う合併症
①褥瘡
触覚、圧覚および痛覚が障害されていると、長時間の皮膚の圧迫感や苦痛等を感じないため、圧迫に伴う血流の阻害により皮膚を含めた軟部組織の壊死を招く。
②熱傷、凍傷
温度覚、冷覚が障害されていると、熱さや冷たさを感じないため熱傷や凍傷になり易い。例えば車椅子で、大腿部にホット缶コーヒーを乗せて移動中に熱傷したり、ストーブで足などを温めていたら熱傷になったりする例は珍しくない。
③骨折
痛覚や圧覚が麻痺して、痛みや圧迫感を感じないため急な外力が加わってもそれに伴う衝撃の強さや危険度を認識できないため、知らず知らずに骨折していることがる。
④異常疼痛
損傷部位に知覚過敏,Hyperesthesiaがみられることがある。
脊髄の半側離断によるブラウン・セカール症候群,Brown-Sequard syndromeでは損傷高位部の損傷側で知覚過敏が生じることがある。
知覚過敏は識別性知覚(後索)が脱落しても原始性知覚(交叉して、無傷の反対側を上行する前側索路)が維持される場合に現れると考えられている。