22. 運動麻痺(完全麻痺と不全麻痺)

【運動麻痺の実際】

脊髄損傷は多くの場合、運動麻痺(運動機能障害)を伴います。

運動麻痺は麻痺域の筋が動かない状態のことを言い、程度により歩行が困難あるいは不能になったりします。損傷高位が頸髄レベルの場合は両手の運動に障害が出たり、損傷高位がC3以上の場合は、呼吸困難になり人工呼吸器の使用を余儀なくされる場合もある。

麻痺が「完全麻痺」か「不全麻痺」かにより、予後は左右される。胸髄完全損傷 車いす使用          交感神経核と副交感神経核,越智淳三,解剖学アトラス,p413

【完全麻痺】

最下位仙髄節の運動と知覚が完全に喪失した状態

【不全麻痺】

sacral sparing有り」の場合 = 最下位仙髄節の運動and/or知覚が残存した状態を言う

                 = 麻痺が軽いという知らせ

                 = 排尿自立度が高くなる

         頸髄損傷の排尿自立度 総合リハ,vol.28,4,2000,p346

最下位仙髄節の運動とは、肛門括約筋の随意収縮(S4,5)による運動

最下位仙髄節の知覚とは、肛門皮膚粘膜移行部の触覚と痛覚(S4,5)のこと